◇憂隣国公船航行
◇首相交代
◇送平成迎令和
◇新元號決令和
◇総選挙
◇日本国憲法
黒舶来航青史裡 黒舶の来航は 青史の裡
如今東海白船多 如今 東海は 白船多し
眈耽虎視狙諸島 耽々として 虎視 諸島を狙う
奈國無為無策何 国の無為無策を 奈何せん
(註一) 東海=東シナ海をさす
(註二) 諸島=尖閣諸島をさす
令和四年一月 光琇
意訳 黒船の来航は過去の歴史上の出来事であるが、隣国の海警局の白船が東シナ海に連日居座って威嚇しているのは現在起こっている事実である。隣国は虎視眈々として尖閣諸島を狙っているのは明確であるが、この現実に日本国政府は真正面から向き合わず、無為無策を続けているのは如何なものか。
以下は、産経新聞の令和4年1月10日朝刊の「正論」に寄稿されていたジェイソン・モーガン氏の論評からの抜粋です。「ある日突然、日本列島の沖に外国籍の船が現れる。お互いの平和と繁栄のために来ている、とその外国の指導者が舟の動きを説明する。が、威嚇の様子が一目瞭然。・・中略・・だが、長年平和ボケしている日本の政府が対応に迷う。今まで通りやればなんとかなる、と日本の官僚層がエンドレスに、たらい回しにする。・・中略・・右を読んで、幕末に米国のペリー提督が率いた黒船が来航した1853年ごろの歴史を思い出す方が多くおられるかもしれないが、現在進行形で起きている現実だ。・・以下略・・」
機関砲を装備した海警局の白船が徘徊する尖閣諸島周辺の接続水域では、日本の漁船が操業できない状態が続いていますが、政府は日本の漁船を護るのではなく、近づくなというだけです。自国の領土と国民を護らない国を独立国と言えるのでしょうか。安倍政権下で平和安全法制がしかれ、日米同盟が強化されましたが、日本が自主防衛の態度を示さない限り、この無人島を米国が率先して守ってくれることはありません。日米共同軍事演習という軍事レベルの戦術は展開していますが、尖閣諸島に関しては、施政権に加えて、公務員常駐などによる領有権を明確にするための政治レベルの戦略も求められています。
八月二八日、安倍総理は持病の再発により職を辞する意向を正式に表明しました。総理在任期間は歴代最長で、その間に、トップ外交による日本の地位向上と、平和安全法制の整備などに尽力されました。後任には、安倍首相の女房役として政権を支えてきた菅官房長官が選ばれました。
菅新総理は、官房長官として単に安倍総理の指示を着実に実行してきただけではありません。新しい制度の発案・実行にも辣腕をふるってきました。しかし、前総理の三本の矢のうちの三本目(成長戦略)は遅々として進みませんでした。岩盤規制を崩せなかったことが原因の一つに挙げられますが、新政権にはそこにメスを入れようとの意欲が感じられます。
このような内政の推進に加えて、新政権には、隣国のミサイルが我が国の主要都市に照準を合わせている危急存亡の秋(とき)、憲法改正や外交・防衛戦略の展開にも尽力してもらいたいものです。今日の香港が明日の尖閣、明後日の沖縄にならないように。国を護れなかったが憲法は守ったでは、子や孫たちに禍根を残します。
豈期宰相養痾斃 豈に期せんや 宰相 痾を養いて斃れ
雌伏参謀就後継 雌伏の参謀 後継と就る
四海如今危急秋 四海 如今 危急の秋
請君莫怠国家衛 君に請う 怠る莫れ 国家の衛を
令和二年九月 光琇
意訳 予期せぬことに、安倍首相が突然病で辞任し、安倍首相の下で今まで力を蓄えてきた菅官房長官が後任となった。わが国の周辺は、今まさに危急存亡の時である。国の防衛にぬかりのないように願いたい。
更新元号国書来 更新の元号 国書より来る
回首平成多禍災 首を回らせば 平成 禍災多し
地震旱天風水害 地震 旱天 風水害
令和祈願少悲哀 令和 悲哀の少なきを祈願す
平成三一年四月 光琇
意訳 新しく改められた元号は(初めて)国書から引用された。平成を振り返ると、つくづく災害の多い時代であったと思う。地震、ひでり、風水害と毎年のように災害に襲われた。令和は悲しいことの少ない時代であってほしい。
2019年4月30日に平成が終わり、5月1日から令和となりました。平成の30年間を振り返ると、毎年、日本列島のどこかで自然災害が発生したことが印象的です。平成に入ってすぐの1991年には、長崎県の雲仙・普賢岳の噴火で発生した火砕流で大きな被害が出ました。その後、北海道南西沖地震による奥尻島の大津波(1993年)、阪神・淡路大震災(1995年)、新潟県中越地震(2004年)、東日本大震災(2011年)、御嶽山の噴火(2014年)、熊本地震(2016年)、西日本豪雨(2018年)などが発生しました。
令和はどんな時代になるのでしょうか。子供や孫たちが平穏に暮らせる時代になってほしいものです。
平成31年4月1日、新元号が5月1日から「令和」になると発表されました。これを聞いたとき、令の字に一瞬違和感を感じましたが、よく考えてみると、令嬢、令息、令室というように、令は形が整って美しいという意味もあったのですね。じんわりと親近感がわいてきました。
これまでの元号は、漢籍からとられてきましたが、今回は初めて国書である万葉集が典拠になりました。大伴旅人が自宅の梅園に友人を集めて歌会を開いた際に、周囲の自然の美をめでた以下の文章からとられています。初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、欄は珮後の香を薫らす。ほんのりとした初春の気配が伝わってきますね。令和がこのような素晴らしい時代になってほしいと思います。
櫻花滿野惠風中 桜花野に満つ 恵風の中
三秩平成正欲終 三秩の平成 正に終らんとす
元號令和催淑気 元号 令和 淑気を催す
惟希前途國興隆 惟だ 前途 国の興隆を希う
(註) 三秩=三十年
平成三一年四月 光琇
意訳 桜の花が野原いっぱいに咲く春風の中、30年余続いた平成の世がまさに終わろうとしている。令和という元号は、めでたい気分にさせてくれる。新しい時代に国民の多くが願うのは、この日本が(長期デフレを脱却して)繁栄していくことである。
安倍首相が国会を解散し、10月22日に総選挙が行われました。この日は台風襲来の予報が出ていたことと、高校の学年同窓会があったことから、初めて期日前投票をしました。同窓会では2次会への参加を誘われたのですが、2次会のために借り切っていた会場がかなり混んでいたので辞退しました。帰路、バスを降りると傘を差せないぐらいの風雨に襲われ、2次会参加者が帰宅できたかどうか心配になりました。
マスメディアと野党が一体となって、問題でないことを問題に仕立て上げ、安倍おろしを画策しましたが、結果は自民党の大勝となりました。以前ならマスメディアが世論を誘導し、選挙結果に影響を及ぼしました。しかし、今はネット情報でファクトがすぐにわかるため、テレビのワイドショーと偏向新聞のみを情報源としている高齢者にしか、世論誘導をできないようになりました。
解散風凄十月天 解散の風は凄じ 十月の天
街頭遊説轉騒然 街頭の遊説 転た騒然
東奔西走無停歩 東奔西走 歩を停むる無し
不識誰能醉祝筵 識らず 誰れか能く祝筵に酔わん
(註) 祝筵=お祝いの席
平成二十九年十月 光琇
意訳 十月になると、国会では解散風が吹いてきた。街頭は、遊説演説でなんとなく騒々しくなってきた。候補者は東奔西走して一時たりとも足を止めることはない。一体だれが当選の旨酒に酔うことができるのだろうか。
現憲法制定から七十年が過ぎ、国際情勢は当時と様変わりしました。我が国の防衛法制に関しては、今日の国際情勢の中でそのあり方を考えるべきだと思うのですが、現憲法を絶対条件として防衛法制を論ずる人たち(護憲論者)がいます。いろんな考え方があるのは良いのですが、憲法改正を議論することすらヒステリックに否定する人たちにはうんざりします。「カエルの楽園」のようにウシガエルに国を乗っ取られる前に、日本もそろそろ自力での防衛を考える必要があります。そうでないと、同盟国のアメリカからも見放されそうな気がします。
この詩に関しては、(想定内ではありましたが)先生から「「政治理論については詩になじまない」ということで、添削いただけませんでした。幕末から明治にかけて、政体をテーマとする詩はあまたあるのですが・・・。
北岸嘩然軍拡進 北岸は嘩然として 軍拡進み
南洋島嶼艦船頻 南洋の島嶼は 艦船頻なり
理念雖高遐現実 理念高しと雖も 現実に遐し
可興公論莫逡巡 興すべし公論 逡巡する莫れ
(註一) 嘩然=騒々しいさま
(註二) 逡巡=ぐずぐずしてためらうこと(躊躇)
平成二十九年一月 光琇
意訳 日本列島の北側は軍拡が進んでにわかに騒々しくなってきた。南シナ海の島嶼部では艦船が頻りに行きかっている。日本国憲法は、理想は高いが現実に応えられるものではない。公の場で憲法の議論をすることに躊躇してはならない。