疫病の災禍

境港市の水木しげるロード
境港市の水木しげるロード

◇歳暮蟄居

◇除夕書感

◇疫病渦中月下閑歩

◇幽窗獨吟

◇蟄居

 

◇武漢病毒禍



歳暮蟄居

 今年は、1月から2月にかけて疫病の第3波が収まったかのようにみえましたが、4月から5月にかけて第4波の襲来となりました。そしてさらに、7月から9月にかけて、今までで最も大きい第5波がやってきました。しかし、ワクチン接種が進んだこともあり、年末には小康状態になりました。

 こんな状況の中で世の中全体が一喜一憂し、飲食などの接客業や旅客輸送業などは大打撃を受けました。個人的には、外出を始めいろんな自粛により家にこもりがちとなりました。しかし、感染が収まってきたこともあり、飲み会などが再開され、友人たちと会う機会が増えてきました。来年こそ通常の生活を取り戻したいものです。

今年欲暮疫災中 今年(こんねん) ()れんと(ほっ)疫災(えきさい)(うち)

鬱鬱蟄居心事空 鬱鬱(うつうつ)たる蟄居(ちっきょ) 心事(しんじ)(むな)

半夜送窮聊酌酒 半夜(はんや) (きゅう)(おく)(いささ)(さけ)()めば

鐘聲百八慰衰翁 鐘聲(しょうせい)百八(ひゃくはち) (すい)(おう)(なぐさ)

(註) 窮鬼=貧乏神

             令和三年十一月  光琇


意訳 はやり病の波が押し寄せるなか、今年も暮れようとしている。家にこもる日が続き、鬱陶しい気持ちが晴れないでいる。大晦日の夜中に貧乏神を送り、何となく酒を飲んでいると、除夜の鐘が聞こえてきて、衰えた老人の心をしばし慰めてくれた。


除夕書感

疫病未収長歎催 疫病(えきびょう)(いま)(おさ)まらざるに 長歎(ちょうたん)(もよお)

避人歳暮獨銜杯 (ひと)()けて 歳暮(さいぼ) (ひと)(はい)(ふく)

梵鐘百八今年盡 梵鐘(ぼんしょう)百八(ひゃくはち) 今年(こんねん)()

只願巷間生気回 (ただ)(ねが)巷間(こうかん)生気(せいき)(めぐ)らんことを

            令和二年十二月  光琇

意訳 疫病がまだ収まらないのは嘆かわしく、人との接触を避けて一人でチビチビやっている。除夜の鐘を聞いて今年も終わろうとしているが、来年こそ活気が戻ってくることを願うばかりである。

 今年は武漢肺炎に始まり武漢肺炎で幕を閉じることになりました。年末の第三波で陽性者数(マスコミが報じる感染者数)が急増しました。陽性者は、検査数が増えれば増えることになるので一喜一憂していけませんが、今回は重症者も増加していますね。免疫力の弱い高齢者は重症化しやすいので気をつけなければいけません。

 密になる飲み会などはすべて中止になったので、家にこもってチビチビ飲るしかなくなりました。全くため息がでます。このままでは日本経済は壊れてしまうので、政府には消費刺激策をやってもらう必要があります。来年は活気が戻ってくることを期待して、新年を迎えたいと思います。



疫病渦中月下閑歩

 九月も半ばになると、朝夕はめっきり涼しくなり、過ごしやすくなりました。しかし、武漢肺炎が終息していないため、友人たちとの懇親会など、人と会う機会は延期になったままです。一体いつになったら通常の生活に戻れるのでしょうか。果たして通常の生活が戻ってくるのでしょうか。

 そんな不安の中で、くよくよしていても始まりません。早朝に散歩しながら写真撮影をしていると、新しい発見があります。また夜、虫の音を聞きながら月下の閑歩としゃれこむこともできます。友人たちとは会えませんが、自然との触れ合いにより気分を一新することができます。

一雨涼生虫語頻 一雨(いちう) (りょう)(しょう)虫語(ちゅうご)(しきり)なり

今宵信歩月随人 (こん)(しょう) ()(まか)せれば (つき) (ひと)(したが)

交歓何日離朋久 交歓(こうかん) (いずれ)()(とも)(はな)れて(ひさ)

疫病未収幽恨新 疫病(えきびょう)(いま)(おさ)まらざるに 幽恨(ゆうこん)(あら)たなり

 令和二年九月  光琇


意訳 一雨きて涼しくなり、秋の虫がしきりに鳴いている。今宵気の向くままに歩いていると、月が何処までもついてくる。(疫病のせいで)久しく人と会っていないが、いつになったら友人たちと懇親できるようになるのだろうか。こんなことを考えていると、疫病が長引いていることに対する恨みがふつふつと湧いてくる。


幽窗獨吟

戸外はすがすがしい新緑で、木の枝では鳥たちが盛んに囀っています。この季節は例年なら、あちらこちらに出かけて写真を撮ったり、友人たちと歓談したりの毎日ですが、今年は病疫が収まる気配を見せず、外出もままならない状態となっています。仕方がないので、一人で部屋にこもって詩を吟じるのですが、あまり力が入りません。

 

いつまで続くかもわからない自粛にうんざりしていますが、それでも欧米と比べて、わが国では感染者数や死者数は12桁低いのが幸いです。BCGのお蔭なのか、国民の衛生意識が高いからのか、握手やハグの習慣がないからなのか、理由ははっきりわかりませんが・・・。

風日清明嫩葉時 (ふう)(じつ)清明(せいめい) (どん)(よう)(とき)

未終疫禍鎖蓬扉 (いま)(おわ)らざる(えき)()(ほう)()(とざ)

時聞黄鳥幽窗外 (とき)()黄鳥(こうちょう) (ゆう)(そう)(がい)

獨坐閑吟語力微 独座(どくざ)して閑吟(かんぎん)するも 語力(ごりょく)(かす)かなり

          令和二年五月  光琇


意訳 若葉が芽吹いて外はすっかり春めいているのに、病疫が未だに収まらないために外出せずに家に閉じこもっている。時々、窓の外で鴬の美しい鳴き声が聞こえてくる。それに誘われて一人でゆったりと詩を口ずさむが、力がこもらない。


蟄居

 4月、行楽の季節になっても外出の自粛が続いています。我が国の武漢肺炎の感染者・死者数は欧米に比べて2桁ほど少ないようですが、それでも店舗の客数が激減しているので経済への影響は甚大です。また、家にこもると、家族といる時間が長くなるので、それがストレスの鬱積につながるようです。

外出自粛の生活への影響をプラスにできればいいですね。テレワークが可能な職種で在宅勤務が進めば、満員電車での通勤からの解放につながります。この詩のように、読書時間が増えればプラスといえるでしょうが、テレビのワイドショーをみる時間の増加につながるようでは、国民の民度を下げてしまうことになります。

薫風吹度緑陰初 薫風(くんぷう)()(わた)緑陰(りょくいん)(はじ)

疫遍巷間空蟄居 (えき)巷間(こうかん)(あまね)(むな)しく蟄居(ちっきょ)

尽日孤愁君莫厭 尽日(じんじつ)()(しゅう) (きみ)(いと)(なか)

螢窗凭几可繙書 (けい)(そう) (つくえ)()って (しょ)(ひもと)()

(註) 蛍窓=書斎

               令和二年四月  光琇


意訳 若葉の香りを含んだ風が吹く爽やかな季節であるが、疫病が蔓延しているために空しく家に閉じこもっている。友達とも会えない孤独な日々だが、くよくよせずに書斎で読書に浸ることにしよう。


武漢病毒禍

原因不明の肺炎患者の発生を重大事と考えた中国武漢の医師、李文亮氏は20191230日この事実をグループチャットで発信しましたが、同氏はその発信を咎められて事情聴取を受け拘束されました。そのような中国共産党の隠蔽体質が武漢ビールスを中国のみならず世界中に蔓延させることになりました。

わが国では、台湾のように中国人の入国を初期段階で遮断しなかったため、東京や大阪を中心に瞬く間にこの疫病が広がりましたが、日本人の清潔志向や3密自粛要請の順守などが幸いして、欧米に比べて死者数を12桁小さい状態に抑え込めています。しかし、自粛が長く続くとストレスがたまるだけではなく、経済にも多大な影響を与えるので、早く正常状態に戻ってほしいものです。

吁嗟武漢帯幽冥 吁嗟(ああ)武漢(ぶかん) 幽冥(ゆうめい)()

疫入本邦猶未 (えき)本邦(ほんぽう)()(なお)(いま)(とどま)らず

世界人民空閉戸 世界(せかい)人民(じんみん) (むな)しく()(とざ)

不知何日得安寧 ()らず (いず)れの()にか(あん)(ねい)()

(註一) 病毒=ビールス

(註二) 幽冥=物の姿がはっきりと見えず、くらいこと

 令和二年三月  光琇


意訳 ああ、武漢は今ビールスの蔓延のために何が起こっているのかよくわからない。そのビールスはわが国にも侵入して感染を広げている。世界の人民は町や家を閉ざしており、一体いつになったら安心して出歩けるようになるのか。